思考力テストを実施したら、たぶん最低点を取るのは管理者です。 年齢とともに思考力が衰えるのでしょうか。いいえ、そうではありません。 思考力を鍛えていないからです。管理者は多忙です。 日々決裁すべき案件は膨大、出席しなければならない会議も膨大、トラブルやクレームも日常茶飯事、さらには部下の目標設定や業績の評価など、直面する問題や組織の未来についてじっくりと考えている余裕がありません。 さらに、ミスをしたら責任を取られる立場のため、明快な答えを出そうとしなくなります。 答えを曖昧にしておいて、「とにかく頑張る」と精神論で乗り切ったほうが無難だからです。他から見ても、一生懸命にやっていると見られます。
今、管理者に求められる能力は大きく変わってきています。 しかし、いまだ「人・物・金」の管理に一所懸命な管理者は多く見られます。 「何か問題はないか」「目標はどれだけ達したか」については鋭く目を光らせているものの、組織の外、市場とか、顧客とかには関心が向けられません。 ましてや、組織の未来については意識を外にあります。
今、「目に見えないもの、無形なもの」に対するマネジメントに必要性が増しています。 具体的には「組織風土」「社員一人ひとりの期待・価値観・感情」「顧客の期待」「市場における競争のルール」「潜在する競合「現在のビジネスを代替する技術」など、これらは管理者の机の上の報告書にはありません。 過去の業績への功労によって管理者になった者ではもはや太刀打ちできません。根本的な管理者の能力向上が求められています。