Youtubeに「なぜ大企業でリーダー・変革者が育たないのか?」というテーマで動画を投稿しました。本記事では、動画の内容を要約して紹介していきたいと思います。
組織の実態
25年間、私は「リーダーがいない」「イノベーターがいない」「将来の経営リーダー候補がいない」と言い続けてきました。しかし、どの組織でも、業界、会社、階層関係なく、その状態が続いています。みんなオペレーターにとどまっています。
オペレーターってどんな人でしょうか?上位者から言われたことを、組織の方針や仕事のルールをきちんと守り、周囲と協調しながら確実に自分の責任を果たしていく人です。
経営トップが、「変革に向かうリーダーを輩出せよ」「採用せよ」「育成せよ」と声高に叫ぶと、人事スタッフが「施策」を講じていきます。しかし、現場は「変革に向かうリーダー」を好んではおらず、「現状の仕事を確実に行うオペレーター」を育てているのが現状かと思います。
なぜなら、現場は成果主義、目標を達成しないと責任を問われます。組織目標達成のため、ルールを守り、ミスを避け、心を合わせて頑張らないといけません。変革を目指すリーダーは、組織の秩序を乱すこととなり、「厄介者」扱いされます。
組織は、効率よく組織活動を進めていくため、「権限」「階層」「職責」さらに、仕事の「手続き」「ルール」を定めています。現場のトップは、「組織のルールを守って確実に成果を出せ」と言い、経営トップや外野の人たちは「ルールを破って新しいことをやれ」と言います。最後は、人事評価、周囲との関係を考えると、確実に成果を上げるほうを選びますよね。
課長層・部長層まで上がってくる間に「変革者」はいなくなっている
大企業で変革を起こしていくには、組織の壁が厚く、並大抵の努力では成功しません。組織は「目的を効率的に達成するための仕組み」であるため、効率的でないことをしたり、ルールを破ろうとしたり、人と違ったことをやろうとすると、抑制圧力が働きます。そうすると、変革の芽をもった人材は、次の二つの方向に分かれてきます。
- 組織の中での変革をあきらめ、普通の人材となって成功を求める
- 負の抑制が働かない「場」に移動し、思ったとおりに変革行動を推進する
つまり、変革をあきらめるか、場所を変えるか、どちらかになるでしょう。
ある企業の統括部長、本部長を集めてアセスメントを実施し、変革人材を抽出しようとしましたが、3%程度しか抽出されませんでした。しかも、大半は中途入社の意識の高い人材です。
変革者や創造者は、人の見えないものが見える反面、それを説明することができません。したがって変革者や創造者は自分一人では育ちません。大切なのは上司の支援と育成です。しかし、現状、変革者や創造者を育てることができる上司はきわめて少ないと思います。なぜなら、「組織に忠実な良識人」を「間違った判断をしない人材」に育てることしかやってこなかったからです。
次回に向けて
もはや、「階層型組織を下から登らせる」という人事制度が古いのだと思います。ここを壊していかないと、リーダーは出ない、変革者は出ない、しょうがないから「外から採る」という実態から脱却できないのだと思います。
次回も、危機的状況に陥っている組織の実態を説明したいと思います。